アメリカ人はテンションが高い?

 

ビルの窓際に二人の女性が腰かけて話をしている。

アメリカ人はテンションが高い?

 

「ハーイ!」といきなり外国人の先生が教室に入ってきて、日本人の先生とのギャップに驚いた経験はありませんか?

 

 日本では、初対面からいきなり「やあ!」なんてテンション高くあいさつしたり、握手をしたりしないので、ネイティブの先生が積極的にコミュニケーションを取る姿に戸惑ったことがある人も多いのではないでしょうか?

 

 では、なぜネイティブはいきなりフレンドリーに近づいたり、話しかけたりするのでしょうか?

 そこには日本と欧米の文化の違いがあるようです。

 

 ネイティブが最初からフレンドリーなのは、相手に「自分は敵ではない」と伝えるためだとされています。

 国と国が地続きの欧米では、長い歴史を見ても、隣国同士で多くの争いが繰り広げられてきました。

 なので出会った相手にに対し、まず「敵か、味方か」という確認が必要なのです。そこで敵とみなされれば、問答無用で攻撃されてしまいます。

 誤解を避けるために、相手にフレンドリーに近づき「私はあなたの敵ではありません。仲間です」と伝えなければなりません。

 ネイティブの先生が、初対面でもハイテンションであいさつをするのは、欧米のこのような歴史的背景が影響しているのかもしれません。

 

 それとは反対に日本は島国のため、即座に「敵か、味方か」を判断する必要がなかったからかもしれません。これは、文化の違いといえそうです。

 

「察して!」の日本語 VS 「直球!」の英語

 

 日本語は、主語をはっきりと言わない言葉なので、自分の考えを伝える時でも「私は~と思う」とは、よほどのことがない限り言いません。

 また、意見を言った後で「~ではないでしょうか」「~ですよね」などと、曖昧に表現する傾向があります。遠回しな言い方の日本語には、もしも相手が自分と違う意見でも、まずは衝突を避けておこうという配慮がかんじられます。

 

 しかし英語は、主語と動詞なしには成立しません。IやWeといった主語から話を始め、あとには動詞を続け、「誰が何をするか」をはっきり伝えるのが基本です。

 このようにみてみると、遠回しに「察してもらいたい日本語」と、「直球で明確に意図を伝える英語」の違いがみえてきます。

 

 日本語は主語が曖昧なため、欧米人からすると「誰が誰に対して言っているのか」うぃ確認したくなるそうです。

 たとえば面と向かって「疲れているみたいだね」と言われたら、相手が自分に対して言っているのだとわかりますが、すれ違いざまに「疲れているみたいだね」と言われたら、自分なのか、誰か別の人のことを言っているのかわからず、困惑するのだそうです。

 しかし英語で You look tired.  (あなたは疲れているみたいだ)と言われたら、あなた(You)のことをいっているのは間違いありません。休息が必要だと言われているのです。

 

アメリカ人はストレートだから、思ったことは何でも口にする」とよく言われますが、それは主語と動詞を明確に伝える英語という言葉の特性から、特に日本人には強く感じられるのかもしれません。

 

英語は表情筋を使え!

 

 英語と日本語、もうひとつ大きく違うのは「表情筋の使い方」です。

 表現筋とは、口や目、鼻を動かす顔の筋肉のことで、うれしい、悲しいといった人間の表情を作り出す動きを担っているので、「表情筋」と呼ばれます。

 日本語は、さほど表情筋を使わずに話せる言語です。無表情で話すことも可能です。

 しかし英語を話す時は、驚くほど、顔や口の使い方が重要になります。そもそも26文字しかないアルファベットを組み合わせて、さまざまな音を作り出すので、表情筋を活発に使わないと発音の違いを表現できません。日本人が「L」と「R」の発音を苦手とする理由のひとつも、ここにあるのかもしれません。

「英語を話す時は大げさすぎるぐらいに大きく口を開け、表情をつけてしゃべらなければ通じないのだ」と割り切ったほうがいいようです。はずかしがらずに、表情をつけることが重要のようです。

 

 日本人の英語が通じないのは、「声の小ささ」も理由のひとつです。反対に言えば、伝わりやすい英語を話すには、「声を大きくする」のが不可欠だということ。

 悪意なく、聞き取れないのでもう一度言ってほしいとネイティブの方はお願いしているだけなのに、日本人は英語を間違えたことを聞きとがめられたのかと思い、口をつぐんでしまうそうです。(心当たりがあります…)

 しかし、英語は発音が多少違っても、大きな声ではっきり話せば、かなり通じるんだそうです。

 英検などの面接のポイントも、そこだそうです。小さい声でモゴモゴと話していると評価は今ひとつですが、多少、発音や言い回しを間違えても、堂々とはっきりものを言うだけで、印象がグンと良くなるそうです。

「ゆっくりでいいから、はっきりと」  ____  これこそが英語を話す際の、一番簡単なポイントなのです。

 

参考文献:英語、苦手かも…と思ったときに読む本 デイビッド・セイン 河出書房新社